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私たちはどこへ行けばいいの?

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イラク中央政府から、クルド自治区にある国内避難民キャンプを7月31日までにすべて閉鎖するとの発表がありました。
国内避難民の中には、イスラム過激派組織ISの蛮行により家を失った人々も多く、帰還後の生活状況の更なる悪化を懸念して帰還に消極的な家族が殆どです。

JIM-NETで支援している貧困患者家族の中にも、国内避難民キャンプに住む患者や患者家族がいます。
その中の一人、カマールのお母さんが先日JIM-NETハウスを訪れました。

  

カマールは2023年8月に急性リンパ性白血病(ALL)を発症し、アルビル市内にあるハルシャム難民キャンプで家族と暮らしながらナナカリ病院で治療を受けています。
  

一家の出身はイラク北部、多くのヤジディ教徒が住むシンジャール地区。
2014年、イスラム過激派組織ISが侵攻した直後、全てを捨てて必死の覚悟でアルビルに逃れてきました。
「私たちは住む家、持っていたものを全て失いました。何とか今はここ(国内避難民キャンプ)で生き延びているけれど、この先ここが閉まったらどうしたらいいの・・・。私たちはどこへいけばいいの?年々家賃も上昇し、町中に住むこともできないし、カマールの治療にも通わないといけない。本当にどうしたらいいのかわからない。」
と、スタッフのリームに不安を打ち明けました。

7月31日までに退去した国内避難民に対しては、約3,000USDの資金援助と最低限の家電の支給はあるとの発表ですが、このままだと多くの国内避難民が路頭に迷うことは明らかです。また、JIM-NETが支援する国内避難民のがんの子どもたちとその家族はこれまで以上の苦難が強いられることになるでしょう。

国際機関やNGOは、政府の決定に対して帰還後の生活や安全の確保などの観点から反対しており、今も交渉が続ています。

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昨年、家庭訪問した際の写真です。

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