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シリア北東部の今~国内避難民キャンプの医薬品支援と進まぬ復興~
~クルド赤新月社(以下KRC)の協力のもと、第2弾シリア地震被災者支援として19,000USD相当の医薬品支援を行いました。
JVC(日本国際ボランティアセンター)・JCF(日本チェルノブイリ連帯基金)・JIM-NETの3団体の協働で募金キャンペーンを行い、2回の合計で34,000USDの支援を行うことができました。ご支援くださった皆様に改めて御礼申し上げます。~
シリア国内支援での事業パートナーであるKRCを通じて、
23年度はアルビル事務所スタッフのリームが2度に渡り、シリア北部及び北東部へ渡航しました。
この地域では、シリアの混乱で過激派による民間人への拷問や殺害が起こり、
2016年からはトルコ軍からの攻撃や侵攻に晒され、
混沌とした状況が今なお続いています。
そんな中、2023年2月6日、トルコとシリア国境付近を震源地としたM7.8の地震が発生し、
シリアとトルコ国境付近の地域に甚大な被害をもたらしました。
震災から一年を迎えましたが、ウクライナ戦争やイラスエル軍によるガザ侵攻など世界中が混乱する中で、
シリアへの支援や報道は激減し、地域住民は劣悪の状況下から抜け出せぬまま日々を過ごしています。
この地域に住む人の約85%が貧困に直面しており、公務員の給与でも1週間分の食料しか買うことができません。
輸入に頼る医薬品も価格が高騰しており、風邪薬や胃薬といった安価で手に入るはずの医薬品も購入することができない人が多くいる中、国内避難民キャンプでも慢性的な医薬品不足が続いています。
バルハダーンキャンプの保健センターは物資不足のため、医療を提供できない。
医薬品の在庫がほとんどないキャンプもあり、現地の保健所や関係者から状況やニーズを聞き、
医薬品を届けるためKRCと連携しながら支援を進めています。
とりわけ必要とされている医薬品は、抗炎症剤、解熱剤、狂犬病ワクチン、ヘビ咬傷やサソリ刺傷の抗毒素剤、リーシュマニア症(寄生虫疾患)の治療薬ですが、全ての医薬品が不足しており、事態は深刻です。現地からは、引き続き医薬品や医療品への支援要請の声が大きく、昨年12月に開設されたがんセンターへの支援も求められています。
【トルコ・シリア地震のその後の様子】
JIM-NETが緊急支援を実施したシャハバ地域は、トルコ軍が支配するエリアと
シリア政府が管轄するエリアが混在し、物流が困難な地域です。
支援物資が届くのも通常より1-2か月多く時間がかかり、混迷を極めています。
発電機の故障や燃料不足により、電気が使えない状態が続いている家庭が多くあり、地下水位も低下し、水を汲み上げるためのポンプシステムに電力が必要なため、水も十分ではありません。
KRCでは、シャハバ地域で7つの保健センターを運営していますが、その中の2つはバルハダーンキャンプとサルダムキャンプにあります。しかし設備が脆弱で、緊急時に救急車で患者をキャンプ外の病院に連れいていく以外は基本的に何もできません。搬送先の病院も設備や医薬品が十分でないため、緊急の患者は遠方の病院に搬送されるケースも珍しくありません。
春から夏にかけては今年もコレラの蔓延が懸念されます。
シリアの支援から戻ったリームは
戦争の惨禍だけでなく、トルコ軍の侵攻、そして地震と、ここに住む人たちは目の前にあるものを全て破壊されてきました。これ以上何を壊されなければないのでしょうか? 人々の夢は日に日に消えています。しかし、キャンプで暮らす彼らは、自分のテントの前に木を植えていました。生きる糧を取り戻し、この土地と自分たちを結びつけるために、そしてこの土地で生きる自分たちを奮い立たせるために力を絞っているかのようにも見えました
と話していました。
タグ: シリア地震支援