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ヒワのバグダード事務所訪問記 vol.1 ~中央小児教育病院の現状
先月、JIM-NETアルビル事務所スタッフで、医師でもある
ヒワがバグダードのJIM-NET事務所を訪問しました。
治安などの関係もあり、アルビル事務所の
現地スタッフがバグダード事務所を訪問するのは初めてのことです。
今回から3回に分けて、ヒワのバグダード訪問レポートをご紹介します。
アルビル事務所スタッフのヒワ(写真、真ん中右)
バグダード事務所スタッフのアブサイード(写真、左)
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バグダードに来る小児がん患者は、主に周辺や遠方の街
(ファルージャ、カーイム、ガワ、ルトバ、ヒッラ、
マハムディア、ナジャフまたはカルバラなど)から来ています。
バグダードには公立のがん専門病院が2ヵ所あり、
JIM-NETはその内の一つ、中央小児教育病院(CTHP)内にバグダード事務所を構えています。
『中央小児教育病院の現状』
バグダード事務所スタッフのアブサイードに案内をしてもらい、私はCTHP内を視察しました。
まず入って真っ先に受ける印象は、設備がとても古い、というものでした。
壁や床も汚れ、場所によってはひびも入っていました。
また受付は患者で混みあっており、新型コロナウィルスの
感染症対策がとれている、とは言えないものでした。
中央小児教育病院には3つの小児がん患者病棟があり、
合計108床もある大きな病院です。
しかしここ病棟内も古く不衛生で、いくつかのベッドも壊れ、
エアコンも故障し、割れている窓もありました。
50℃を超える夏場であっても、患者はベッドの上についた
扇風機のみで過ごしているそうです。
また共用のトイレや水場も汚れやゴミが溜まっていました。
病院内には子どもたちの娯楽のための施設が一切なく、
JIM-NETの事務所内のみだけ、テレビを見ることができ、
遊ぶことができる場所があります。
『看護師さんのお話』
小児がん病棟にて、病院で働く看護師さんとお話しすることができました。
彼はJIM-NETが企画・支援したエジプトでの感染症対策支援研修に参加した一人でした。
JIM-NETの長年に渡る支援に感謝をしつつも、ベッドシーツやガウンといった
基本的な感染症対策物資の不足や他の看護師たちの経験不足を訴えていました。
『インティサール先生のお話』
小児血液専門医であるインティサール先生は、JIM-NET会議にも
参加されたことのある、イラクの権威ある先生です。
お話しを伺った際も多くの患者が彼女の診察を待ており、
待合室は人で溢れかえっていました。少しだけ頂いた時間の中で、
先生はバグダードの多くの公立病院が慢性的な
医薬品不足になっていると、語っていました。
特に家庭が貧しい患者などは高額な薬を
外の薬局で購入することもできず、途方に暮れています。