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米国・イラン間の緊張関係に関連し日本政府に仲介交渉の努力を求めます(NGO共同声明)

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武力行為やそれに対する報復攻撃はイラクやその周辺地域を不安的化させ、イラクで生きる人々に対する不安を増長させています。現地では恒常的な政治不安、情勢不安で人々は疲弊しており、今回の米国・イラン間の武力行為による今後の更なる情勢悪化を心配する声が上がっています。

イラクでがんに苦しむ子どもたちやその家族にとっても、安心して治療を受けることができる環境が極めて大事です。また先日も「バルダラシュ難民キャンプ医薬品緊急支援」をお願いしたところですが、イラクには25万人近くのシリア人がシリアから逃れて暮らしています。脆弱性や緊急性の強い人々が暮らす地域がこれ以上の情勢不安に陥ることを懸念しています。
「武力にたよらない平和の実現」をJVCと立場を共にし、当要請文に賛同します。

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外務大臣 茂木 敏充 殿
防衛大臣 河野 太郎 殿

 2020年1月3日、イラクにおいて米国軍によるイラン・イスラーム革命防衛隊司令官等の爆撃・殺害が行われたことを機にイラン・米国間の緊張が高まり、イラン・イラク及び周辺地域に住む人々の安全を脅かす事態が発生しました。
 中東においては、これまでも度重なる戦争により多くの難民・避難民が発生し、人々は暴力の連鎖に疲弊しきっています。米国によるこの度の殺害事件およびイランによる報復攻撃は、同地域のさらなる不安定化を招いています。米国による司令官殺害については、国際法違反の可能性を指摘されており、強い非難の声が国際社会から上がっています。また、たとえどんな名目の下であっても武力による威嚇行為、現地の不安を煽る軍の増派や、武力を用いたいかなる報復攻撃も、現地の人々の命と暮らしを奪い地域情勢の不安定化を強める行為であり、正当性や妥当性を見出せるものではありません。人々の暮らしを守るために武力によらない平和の実現を目指して草の根支援を続けてきた市民団体として、私たちは反対の意思を表明いたします。

 私たちは今回武力の応酬の現場となったイラクをはじめ、中東の市民が抱く不安にも深く憂慮しています。現地では、長引く紛争の被害から立ち直ろうと、多くの人々が不断の努力を続けているのを、支援を通して私たちは見てきました。いかなる暴力も、彼らが積み上げてきた大切な暮らしと命をいとも簡単に踏みにじる危険性を常にはらんでいます。

米国による核合意離脱に始まる両国の一連の緊張状態について、「中東地域の緊張緩和、地域情勢の安定化にできる限りの役割を果たしていく」との意志を示してきた日本政府に対し、対話による仲介への一層の努力を要請します。また日本政府のみならず関係各国・機関に対し、両国の緊張緩和に向け、国際法に則った最大限の努力を行うことを求めます。 また、日本政府が双方の間に立って交渉・対話を続けるにあたっては中立の立場を貫くことが重要であり、武力を有する自衛隊の中東地域への派遣は緊張緩和に逆行するものです。私たちは、現在実施されようとしている「調査・研究」目的での自衛隊派遣の中止を強く求めます。

2020年1月10日
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
代表理事 今井 高樹

特定非営利活動法人 JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)
代表・事務局長 鎌田 實

特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク
理事長 松本 智量

浄土真宗本願寺派 恵光寺 稲葉 尚範
市民団体「ひろがれ!ピース・ミュージアムいたばし」

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