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シリア情勢
9月19日から9月30日まで、シリア北西部のイドリブとその周辺地域に集中的な武力攻撃があり、10月に入って集中攻撃はなくなったものの、まだ空爆は続いているそうです。
ロシア国防省の発表では、これは元ヌスラ戦線戦士を含むシャーム解放委員会(HTS、イドリブを拠点に活動する大規模な反体制派)が9月18日にイドリブで武力攻撃を行ったことへの報復だとことですが、シリア・ロシア合同軍の攻撃は、市内のマーケットや避難民キャンプのある一般の人たちが多く住んでいるところであった報道されています。国境なき医師団(MSF)も、この攻撃でイドリブとハマーでMSFの支援する4つの病院が破壊されたと発表しました。死傷者数は、国連の発表と地元メディアの発表で違っていますが、100人以上に上るようです。
イドリブは、アレッポや他の反体制派が支配していた地域から来た国内避難民が多く、またレバノンから難民も戻って約200万人が暮らしていて、9月15日には、ロシアとイランとトルコが安全緩衝地帯に指定し、停戦に合意したところです。HTSはその合意にサインはしていませんが、「安全緩衝地帯」と聞くと「安全なのだ」と思ってしまいます。でも実際には、「安全どころか殺人地帯になってしまっている」とHRWは警告しています。HRWはまた、あまりの恐怖に「もうここにはいられない。どこでも行かれるところに行きたいが、その道が閉ざされている」と嘆く市民の声も紹介しています。
トルコは10月16日に、閉鎖中の国境を開き、シリア難民を受け入れる準備があると発表しましたが、実際には緊急医療が必要な人に一部開放しているだけのようです。トルコ国境には1万2千人の人たちが逃げてきているとのこと。
シリアではいまだに市民が武力攻撃の犠牲になっています。どうしたらこれを終わらせることができるか、本当に難しいです。それでも、できること、すべきことが何かあるはずだと信じ、JIM-NETも参加するNGOの連合体「シリア和平ネットワーク」は、「シリア人の声を聞くこと」から始めています。今年2月に続き、来年もシリアの方をお呼びしようと動き始めました。詳細は追ってお知らせします。
リンクはイドリブへの攻撃を報道するアルジャジーラです。
https://goo.gl/f4oeWT