現地支援レポート

2017/06/09
ラワの訃報を受けて。


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現地の斉藤から、ラワがなくなったという連絡が入った。モスルから避難し、ハーゼルという難民キャンプで暮らしている。治療のたびにアルビルに来る。薬を買って上げたり、JIM-NETハウスに宿泊したりと支援をしてきた。

キャンプに帰るお金がないというので、スタッフが送っていってあげた。
そのあと息を引き取ったという。

僕が5月の半ばにイラクを出発するときには、弱り切っていて、ほとんど何も食べれてないといっていた。4月のおわりに、バルセロナと、レアルの試合があったときに、彼女はレアルを選んでサカベコを書いてくれた。その時は、残念ながらレアルは接戦の末、バルサに敗れた。

6月3日、レアルはチャンピオンリーグの決勝を戦っていて、ロナウドの活躍もあり、4-1でユベントスを下してレアルが優勝を決めた。おそらく多くのイラク人たちは大喜びしただろう。
ロナウドやメッシともなると"できたやつ"で、がんの子ども達のことを思い、ゴールを決めている。子ども達の支援も怠らない。彼らのパフォーマンスは、子どもたちへの希望だ。ロナウドの2ゴールも、ラワには届かなかったのか。

彼女がサカベコを書いてくれた時のことを覚えている。ちょうど輸血をしている最中だった。肺に感染症を起こしていたのか、苦しそうに咳をしていた。その後も、ラワは何時もしんどそうにしていた。この背番号4番のサカベコを一緒に作ったことが、唯一の楽しい思い出となった。

JIM-NETのスタッフたちが彼女に寄り添って、学んだことはたくさんある。その一つは、戦争の直接的な被害だけでなく、いかにこういったがんと闘う子ども達を苦しめているかということ。

どうしたら彼女の命を救うことができたのか?抗癌剤が足りなかったのか、感染症なのか、抗生剤なのか。あるいは、救えない命なら、いかに彼女が生きた時間を有意義にすごさせてあげることができるのだろうか?

彼女の死を無駄にすることがないように、JIM-NETハウスを充実させていきたい。

ラワのサカベコが、またどこかで出て来たら彼女のことを少しでもいいから思い出してほしい。そして、多くの子どもたちががんと闘い、そして私たちが仕掛けた戦争で苦しんでいることを決して忘れないでほしい。イラク戦争から14年たち、僕たちが支援を始めたきっかけは、イラク戦争前に出会ったモスルの少女だった。
イラクの医師は「経済制裁(湾岸危機から始まった)が解除され、イラク戦争を避けられるなら、イラクは、石油のお金で支援なんかいらない。日本は国際社会で戦争を始めないようにしてほしい」その言葉を思い出す。

日本の責任は大きく、少なくとも無関心でいてはいけない。我々JIM-NETが現場で起きていることを伝え続けることの責任を改めて感じだ。

佐藤真紀(JIM-NET事務局長)@TOKYO

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