現地支援レポート

2016/12/20
研修の成果 ー リハビリテーションにおける「工夫」


 JIM-NETはヨルダン北部、イルビッドで、シリア人を中心とした女性障害者および障害児に対しリハビリテーションを提供しています。リハビリテーションを行うのは2人のヨルダン人理学療法士です。彼女たちは、JIM-NETが今年度実施してきた「ケーススタディ」研修にも参加してきましたが、現場での彼女たちの活動に研修の成果が見られるようになってきました。

 ケーススタディ研修では、患者さんの具体例(ケース)を用いて、どのように状態を分析しリハビリテーションを計画するかを考える、という演習を行ってきましたが、3回の研修を通して伝えてきたのは、「一人ひとりの患者さんと向き合う」ということです。この疾患に対してこれをすれば良いというA to Zがあるわけではなく、一人ひとりの生活の改善につながることを目指し、患者さんの声を聞きながら、身体面だけでなく成長状況や環境も含めた様々な側面にも合わせてリハビリテーションを組み立て、また改善状況に合わせて工夫を重ねていかなければなりません。

 

 まず、子どものリハビリには、「道具」を用いるようになりました。家庭を訪問して行う在宅リハにおいては特に、常に子どもが興味を示しそうな風船やおもちゃなどを持っていきます。大人であれば「立ち上がってください」「腕をあげてください」などの指示でそれらの動作が可能かどうか判断できますが、子ども、特に発達の遅れが見られる障害児はそれらの指示を理解して動くことができない場合もあります。しかし、子どもが興味を示す風船などを使うことで、子どもの身体の状態などをより正確に把握することができます。またリハビリテーションの過程でも、運動に遊びを取り入れればより動きが促され効果的にアプローチすることが可能です。

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 また、リハビリ終了時に患者さんに「ディスチャージ・フォーム」を渡すようになりました。このシートには、患者さんの障害の状態、日々の生活で気をつけることや予防方法などが記載されています。患者さんの中には、理学療法士の施術に頼りきりでアドバイスをよく聞いていなかったり、または介助をする家族に情報がきちんと伝わっていない場合もあります。そのためリハビリテーション終了後にまた状態が悪くなってしまい、リハビリ施設に戻ってくる人もいます。患者さんが受け身にならず自ら身体の健康を守っていけるようになるためには、このような記録を患者さんに提供することはとても有効です。

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 これらの変化は、彼女たちがより工夫してリハビリテーションを行うようになったという大きな成果です。この変化によって、シリア人、ヨルダン人の障害者がより効果的なリハビリテーションを受けられ、ひいては彼女たちの健康の維持、改善に繋がることが期待されます。

 

 専門家からは、さらに毎回のセッション実施時の記録方法の工夫について助言がありました。その助言を聞く彼女たちの表情も真剣で、何より理学療法士としての仕事を楽しんでいる様子が見られました。これからの彼女たちの活躍に期待したいと思います。

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