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2014/01/26
JIM-NETが内戦終結に向けたシリア妊産婦支援を開始か?


JIM-NETでは、2013年からシリア難民妊婦の出産支援を行ってきましたが、シリア内戦は悪化し、難民の数も増えていることから、イラクのアルビルにある難民キャンプを拠点にして妊産婦支援を拡大継続することを決定しましたので報告します。 【今までの支援】 ヨルダンでは、300万円を主にチョコ募金から投入し、シリアのNGO,SRDが運営するクリニックで231名のシリア難民の出産費を補助しました。(2013年1月?3月)その後ヨルダンでは、国際的な支援も入っていることから妊産婦支援は終了し、イラクのアルビルでの活動に集中しました。 「10人の妊婦さん」プロジェクト(最終的には14名)と称し、アルビルの都市難民の妊婦を無作為に近い形で抽出し、主に検診の交通費・医療費をサポートしながら、出産した際にはおむつなどの「お祝い」を配り、妊産婦の置かれている状況を調査しました。(WE21厚木からの支援)*詳細はレポートを参照report on maternity support for Syrian refugees.pdf  難民の保健医療支援は、受け入れ政府の保健省への協力、調整が必須ですが、クルド自治政府は、このような大量の難民支援の経験が殆どありません。日本政府の積極的な支援が求められています。 アルビルの保健局、内務省、国連機関とも情報・意見交換を行なった結果、  ●クルド自治政府は、出産や検診は、公立の病院、保健所がシリア難民に対しても無料で受け入れる。  ●クルド自治政府は、シリア難民は難民キャンプに収容する計画である。  ●都市難民は、仕事をもちアパートを借りているケースが殆どで、支援の重要性は低く、国際援助機関やNGO等は難民キャンプの支援をしてほしい。 との情報、意見がありました。 その後、シリア国内のクルド地区でも、アルカーイダ系の武装勢力とクルド武装勢力との間で激しい戦闘が始まり、8月15日以降急激に難民が増えました。アルビルにも難民キャンプが4か所突貫で作られました。  公立病院も当初の予定より、はるかに多くの妊産婦さんを受け入れることになり、全体的なサービスの低下が起き始めています。難民に支援が集中することで、受入国の地域住民に不平、不満が起こることは避けなければなりません。たとえば、定期健診用の超音波検診機も一台しかないので、シリア難民が増えることで、検査の待ち時間がかかります。機材供与できれば、検査の効率が向上します。日本の外務省などにも、難民と、受入国双方の妊産婦の立場に立ち、リプロダクティブヘルスの考え方などを積極的に取り入れた、包括的な支援を提案してきました。今回、外務省からNGO連携無償資金協力として17,811,963円を限度とする贈与を受けることが決定しました。 しかし、出産時のガウンなど消耗品購入費や、出産後のおむつなどJIM-NETの自己資金分として200万円ほど必要で、引き続き募金等協力をお願いします。また、JIM-NETの目指すところは、一日も早く内戦が終結し、難民が母国に戻ることです。妊産婦の置かれている状況を伝えることで、どうしたらシリアの内戦を止めることができるのか、皆さんとともに考えていきたいと思います。 slid1.JPG 【リプロダクティブ・ヘルスの観点に立った支援】 「10人の妊婦さん」の中で、一人だけ、妊娠したが「生みたくない」という女性がいました。イラクでは中絶は禁止されているので、医者は、胎児が無事に育つようにビタミン剤を処方するも、「そんなのはいらない」突き返しました。夫も同意見で、「生活していけるかもわからないのに子どもはいらない」と言っていました。「望まない妊娠」です。 リプロダクティブ・ヘルスという言葉はあまり聞きなれない言葉かもしれません。 「妊娠・出産のシステムおよびその機能とプロセスにかかわるすべての事象において、単に病気がない、あるいは病的状態にないということではなく、身体的、精神的、社会的に良好な状態(well-being)にあることをいう(出典:WHO)。」 難民の場合は、どうしてもシリア国内との比較になると、ただ無事に生まれればいいという風になりがちですが、厳しい環境の中で本当に今生むのがいいのかということも含めた家族計画も重要です。 かつてシリアでは、ODAの事業として、リプロダクティブ・ヘルス強化プロジェクトが、北東部のマンベジ郡で行われていました。「マンベジ・モデル」として全国的な普及モデルとなり、他の地域にも広まりつつある矢先に内戦が勃発してしまいました。私たちは、難民支援にもこの「マンベジ」で使われた方法や、教材が活かせないか検討しています。 安全に安心して出産してもらうとともに、リプロダクティブ・ヘルスに対する関心が高まることを期待します。http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/bunya/health/syria1.html slid 2.JPG 【プロジェクト目標】 シリア難民の母子の健康維持と向上 【期間】 2014年1月1日~2014年6月30日 【活動内容】 1.妊産婦の医療機関へのアクセスの構築 ・難民キャンプで生活するシリア避難民の妊産婦のために、公立産科病院までの搬送バスを配備し、妊産婦に定期検診を含む医療を提供する。 2.検診・出産に必要な機材供与(下記3台) ・難民受け入れ国側の医療体制を整備し、難民庇護地域の公立産科病院における医療機器不足による混雑緩和を行う。 - 超音波検査機器1台 - ポータブル用超音波検査機器1台 - CTG(胎児心拍陣痛図)1台 3.母子保健に関する情報提供 ・産婦への母子保健に関するパンフレットを作成し、妊産婦1,000人に配布し、定期的・継続的な検診の動機につなげる。 4.母子保健のための物資配布支援 ・母子の健康維持・向上のために必要とされる栄養補助食品を配布する。 5.妊婦検診費や出産費用の補助(※自己資金による支援)(自己資金) ・緊急的な医療支援が必要となった際に、妊婦検診費や出産費用を補助する。 6.医療専門家によるセミナー及びモニタリング・評価の実施 ・難民妊産婦(難民医療関係者含む)約100人を対象に医療専門家によるセミナーを開催し、母子保健やリプロダクティブ・ヘルスに関するセミナー(母子手帳の記録方法、妊娠中の過ごし方等)を通して、安全な出産に繋げる。また、専門家による事業のモニタリング・評価を実施する。

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